令和4年6月9日 一般質問 大畑利明 

1、バリアフリー化の推進と合理的配慮によるまちづくりを

  本年4月、市内でパラスポーツ大会(障がい者スポーツ大会)が開催されました。その際、車いす使用者がトイレの利用に苦慮される事案が発生しています。全ての公共施設が利用者にとって使い易いものに整備すべきバリアフリー化の不十分さを表す事実です。私自身も、未整備に気づいていなかったこと、認識不足であったことを深く反省しています。

バリアフリー法は、ユニバーサルデザイン政策として施行され、共生の社会の実現、誰もが自由に移動し活動できるまちづくりを推進するために、様々な障壁を取り除くことが求められたものです。国土交通省の建築設計標準なども定められています。2020年オリ・パラを背景に法改正があり、自治体、施設設置管理者等の責務として、障害者用トイレ等の適正な利用の推進が追加されています。また、障害者差別解消法で「合理的配慮」は、自治体の法的義務とされています。何故、このような差別事象が生じたのでしょうか、その原因等の検証を求めますとともに、本市のバリアフリー化の状況や合理的配慮に関する、宍粟市の現在位置、今後の取組みなどについて問います。

  • 合理的配慮の不提供など、差別事案が発生した際、その事業者には、報告義務が課されています。今回の事案も含めて、宍粟市の対応についてお伺います。
  • 次に、宍粟市のバリアフリー化の現状と合理的配慮に関する取組み状況を伺います。

また、建築物のバリアフリートイレの改善について考え方を伺います。

  •  障がい者差別解消法が施行されてから5年が経過。誰もが住みやすいまちづくりを進めるために、当事者の参画・協力によってバリアフリー化の実態調査を実施してはどうか提案します。

2、「将来にわたって持続可能な医療が提供できる公立病院の建替を求める

世界的な経済情勢の変化や第8次医療計画に附随する観点から、新病院の整備は、一旦立ち止まり、検証・見直しを行う必要があると考えます。

これからの日本は、本格的な人口減少と少子高齢化の時代を迎えること。新型コロナウイルス感染症対応に加え、ウクライナ情勢による原油や物価高騰などの先行きの不安の中、将来の危機に備えた対応の重要性が高まっていることです。加えて、本年3月29日、国が、自治体病院に対して、持続可能な地域医療提供体制を確保するため「経営強化ガイドライン」を公表し、自治体病院にコロナ対応の中心的な役割を果たすことや本格的な人口減少、少子・高齢化の危機に対応した「経営強化プラン」の策定を求めていることです。 

特に、中小規模の自治体病院は、医師・看護師等の不足、人口減少、医療需要の変化から、病院経営の厳しい現実があることを踏まえて、将来にわたって持続可能な医療提供体制を確保するため、来年度中にR9年度を期間とする公立病院「経営強化プラン」の策定が求められています。これらの情勢は、現在、進行中の基本計画の策定時点とは変化しており、今後、建設事業費の高騰や持続可能な自治体病院経営を実現するため、懸念を抱かざるを得ない状況だと捉えます。 今、最も大事に考えるべきは何か。それは、急いで建物を建てることではありません。将来にわたって持続可能な医療提供及び医療の質を向上させる公立病院を造ることです。

再度、専門家や市民の参画によって議論を行う時だと考えます。そこで、国が示す経営強化ガイドラインに関連して質問します。

  • ガイドラインは、持続可能な医療提供体制を確保するため、「病院の役割・機能の最適化と連携強化」が重視されました。今後の医療需要の変化をどのように捉え、どのような役割・機能の最適化をめざすのか伺う。
  • ガイドラインは、施設・設備の最適化に関して、建築単価の抑制や整備面積の精査などによる整備費の抑制に取組むよう求めている。新病院は、もっとローコスト建築と病床削減などにより経営強化に努め、医療提供の質の向上をめざすべきではないですか。
  • 新病院が、現状と変わらない医療提供体制や病床数を確保するとしても、医療提供の質や医業収益が上がるとは言えないのではないか。

医療需要の変化に対応した、具体的には、医療介護の複合ニーズ(認知症やフレイル、ロコモティブシンドロームなど)、地域の特性に応じた、特色のある病院へ見直しを行い、持続可能な医療提供体制と医療の質の向上を図ることが、結果として、医業収益を確保でき、持続可能な自治体病院になるのではないかと考えますが如何でしょう。

 建替を反対しているのではなく、社会経済情勢の変化や持続可能な自治体病院を存続させる観点から、基本計画は一旦立ち止まる必要があると考えます。病院管理者である市長の賢明な判断を求めますが如何でしょうか。